
高い性能とスタイリッシュなデザインで、Macシリーズを一新したMac StudioとStudio Display。いざ使ったときに満足できるデバイスになるか、メリットとデメリットで評価しました。
Mac StudioとStudio Displayを揃えるべきか、いずれかを使う場合や新型27インチiMacの状況も含めた購入法もまとめてお伝えします。
Mac Studioのメリットとデメリット
Mac StudioはM1 MaxとM1 Ultraのいずれかのチップで作動するハイエンドマシンです。とりわけM1 UltraはM1 Maxを2つ融合したフュージョンシップで、M1シリーズ中で最強のパワーを誇っています。
メリット
- M1 Ultraが選択できる
- 12のポートを搭載
- 静音もキープする排熱機能
- 省スペースのコンパクトサイズ
M1 Ultraが選択できる
Mac Studioの大きな魅力は、M1 Maxの倍のパワーを持つM1 Ultraが使えることです。3Dグラフィックスや音楽制作、8Kの映像を10本以上同時再生するなど、よりパワーを求めているユーザーは恩恵を感じるでしょう。
M1 MaxとM1 Ultraのチップの性能を比較してみましょう。
M1 Max | M1 Ultra | |
---|---|---|
CPU | 10コア | 20コア |
GPU | 24/32コア | 48/64コア |
ニューラルエンジン | 16コア | 32コア |
メディアエンジン | ・ハートウェアアクセラレーテッドH.264 ・HEVC ・ProRes ・ProRes RAW ・ビデオデコードエンジン ・ビデオエンコードエンジンx2 ・ProResエンコード / デコードエンジンx2 | *M1 Maxと同様(エンジンはすべて2倍) |
M1 Ultraの性能は、数値を見る限りすべてM1 Maxの2倍になります。単一の作業よりも、重いソフトと複数のアプリなどの同時使用に強みを発揮します。
12のポートを搭載
豊富なポートの数もMac Studioのメリット。以下12のポートを搭載しています。
共通 (背面) | M1 Max (前面) | M1 Ultra (前面) |
---|---|---|
・Thunderbolt 4×4 ・USB-Ax2 ・HDMI ・10Gb Ethernet ・ヘッドフォンジャック | ・USB-Cx2 ・SDカードスロット | ・Thunderbolt 4×2 ・SDカードスロット |
さらにStudio Displayのポート(後の「Studio Displayのメリットとデメリット」を参照)も4つ追加されるので、合計16個のポートが使えます。
外部ディスプレイは最大5台 (Thunderbolt 4経由6Kx4台、HDMI経由4K1台)接続可能。高解像度の複数のディスプレイをつなげるときも、Mac Studio1台でブリリアントな作業ができるでしょう。
前面ポートは、頻繁にケーブルをつけたり取り外すiPhoneやiPadなどの充電用にも重宝します。
静音もキープする排熱機能の向上
デバイスの背面や底に多量の小さな排熱ホールを備えており、負荷の高い作業でも高熱を効果的にブロック。高いパフォーマンスの維持や電力の効率化にも貢献します。
さらにわずかな音を維持するため、作業はもちろん映像や音声を妨げません。内側でパワフルに作動しても、ポーカーフェイスでサポートしてくれます。
省スペースのコンパクトサイズ
Mac Studioはコンパクトサイズ(高さ9.5cmx幅19.7cmx奥行き19.7cm)で、デスクスペースを占領しないのも魅力の一つ。
横置きならStudio Displayの下に置けるので、両脇は使い慣れているセッティングを変更する必要がありません。ディスプレイの下にiPhoneやAirPodsなどを置きたいときは、縦置きにしてディスプレイの脇にMac Proのように設置することも可能です。
デメリット
- 使う人が制限される
- メモリの増量ができない
使う人が制限される
Mac Studioはパワフルなマシンですが、とりわけM1 Ultraはプロのクリエイター向きなどユーザーが限定されるチップです。一般的な作業ももちろんカバーできますが、パワーを持て余してはメリットを実感できないでしょう。
新型27インチiMacの代用として検討しているときも、飛躍したチップとのギャップに悩まされます。
メモリの増量ができない
Mac Studioは27インチiMacのようにメモリの増量が購入後にできません。Mac Studioがベストなマシンになれば長く使えるので、事前にメモリの容量を検討することが必要です。
Mac Studioでカスタマイズできるメモリの容量は以下の通りです。
M1 Max | M1 Ultra |
---|---|
32GB/64GB | 64GB/128GB |
Appleシリコンのメモリは大幅に消費を抑えるため、IntelプロセッサのMacの同じ容量のメモリよりゆとりを持って使えます。
Studio Displayのメリットとデメリット
5K 27インチディスプレイStudio Displayのメリットとデメリットをまとめました。
メリット
- ロスレスサウンドスピーカー
- 空間オーディオ対応
- 超広角12MPカメラとセンターフレーム
- 27インチiMacより幅サイズが縮小
ロスレスサウンドスピーカー
Studio Displayには6つのスピーカーにより、低音から高音まで音域に合わせた最適なサウンドを滑らかに再生。
スタジオで録音したときの原音を引き出すロスレスオーディオで、ハイレゾな音声を体験できます。映像だけでなく、スピーカーとしても優れた機能を発揮。
プロレベルのスピーカーと比べると広がりが抑えられますが、音楽愛好家や通常の使用では申し分ない音響です。
空間オーディオ対応
M1シリーズのMacで利用できる空間オーディオが、Studio Displayでも可能です。空間オーディオはドルビーアトモスに対応している映像や楽曲で体験でき、映画館のような迫力あるリアルなサウンドを再生します。
空間オーディオに対応している楽曲は通常のリスニングよりも少なめですが、邦楽も次第に増えているようです。
なお空間オーディオはAirPods Max、AirPods Pro、AirPods 第3世代など対応ヘッドフォンやイヤホンで利用できます。
超広角12MPカメラとセンターフレーム
FaceTimeやZoomなどでセンターフレームが使える、122度の超広角12MPカメラを搭載しています。Macでは初めての機能で、大画面でのオンライン会議やビデオチャットを頻繁に行う方には利用価値が高いでしょう。
センターフレームはiPadシリーズに盛んに採用されているスペックで、ハイエンドモデルに限定されずに利用できるのもメリットです。
27インチiMacより幅サイズが縮小
Studio Display(高さ47.8cmx幅62.3cmx奥行き16.8cm)は27インチですが、ベゼルがスリムになった分、27インチiMac(高さ51.6cmx幅65cmx奥行き20.3cm)より幅が約3cm狭いです。
複数の外部ディスプレイを繋げて使う場合、ちょっとしたスペースを有効に使えるでしょう。
デメリット
- Thunderbolt 3が1つのみ
- 高さが調整できない
- クオリティはあるが価格と不均衡
Thunderbolt 3が1つのみ
Studio Displayには、以下4つのポートが搭載されています。
- USB-Cx3
- Thunderbolt 3
ポートは種類や数が少ないです。とりわけThunderbolt 3が1つで、Mac Studioを接続すれば3つのUSB-Cしか残りません。
Thunderbolt 4、USB-A、HDMI、SDカードスロット、ヘッドフォンジャックなどを完備しているMac Studioが不可欠になるスペックです。
高さが調整できない
Studio Displayはオプションのスタンドなしでは、高さが調整できない仕様です。スタンドを付けるとベースから47.9cm〜58.3cmまでの高さ調整が可能で、標準スタンド(47.8cm)より10.5cmディスプレイを上げられます。
スタンドの価格は個別に公式サイトで表記されていませんが、Studio Displayに追加すると267,800円。ディスプレイ分の219,800円を差し引くと、48,000円であることがわかります。
縦向きができない以外は、Pro Display XDRと同じデザインです。
クオリティはあるが価格と不均衡
Studio Displayの価格は219,800円〜です。音響システムやカメラ機能は大幅にグレードアップしましたが、ミニLEDがないほか27インチiMacの輝度500ニトから600ニトへのグレードアップしただけのディスプレイ自体に対しては割高です。
あえて採用したA13チップや64GBストレージが、やがて価値あるものとして意味をもたらすなら、負担は多少軽減できるかもしれません。
ミニLEDに関しては、6月のイベントでミニLEDを搭載したStudio Display Proが発表されるとディスプレイアナリストのロス・ヤング氏は予想していました。しかし中国のロックダウンの影響により、10月への延期が2023年初頭以降へさらに先送りになる可能性があると伝えています。
ミニLEDに伴い、最大120Hzのリフレッシュレートを可能にするProMotionテクノロジーも採用予定。クオリティの向上は好ましいですが価格上昇が見込まれ、ハードルの高いディスプレイになるでしょう。
Mac StudioとStudio Displayはセットで購入しないと意味がない?
Mac StudioとStudio Displayはセットで購入するのが理想的ですが、予算や作業に合わせて他のデバイスで組み合わせを変更するのも可能です。姿を消した27インチiMacについても書き加えました。
Mac Studioとサードパーティーの外部モニターを使う
Studio Displayのピクセルやオーディオ、カメラ機能などを重視しないなら、サードパーティーの外部モニターをMac Studioに接続して使うのも一つのアイデアです。
27インチの4Kディスプレイは50,000円程度で購入できるので、約17万円節約できるでしょう。
Mac StudioのM1 Max(278,800円)とM1 Ultra(558,800円)にサードパーティーの外部モニター価格をプラスすると、それぞれ約328,800円と約608,800円あたりが予測できます。
Studio Displayと別のMacを使う
Mac Studioほどのパワーが必要ないときは、パワーレベルを下げたMacと使うのも可能。512GBストレージの13インチMacBook Proは206,800円〜で、Mac StudioのM1 Max(278,800円)より7万2千円安いです。
13インチMacBook Proは最大6Kの外部ディスプレイを1台接続でき、5KのStudio Displayをカバーできます。
もっともデバイスを使う場所は人によって異なるので、最終的には自分が使う環境に合わせて選んでください。
新型27インチiMacを健気に待つ
Mac StudioとStudio Displayの購入に踏み切れないときは、あえて新型27インチiMacを待つのも良いです。
27インチiMacが発売されるかMac StudioとStudio Displayが代用になったのか、どっちつかずの状況ですが、特に必要がなければしばらく様子を見るのも良いかもしれません。
アナリストのミンチー・クオ氏は、2023年の再来を予想しています。
仮に発売されるならM2 ProやM2 Max、あるいはM3を搭載するとも言われ、キーボードやマウスも付くオールインワンタイプの27インチiMacはMac StudioとStudio Displayより抑えた予算で購入できるでしょう。
新型27インチiMacについての情報は新型iMac 27インチの発売日は2022年夏までに期待!プロ仕様のスペックを予測をご覧ください。
まとめ
Mac StudioとStudio Displayを使えば、これまでにないパワーを体験できそうです。作業によっては快適さの違いが異なるので、事前に自分が必要とする機能をチェックすることが大切。メリットやデメリットも参考に、Mac StudioとStudio Displayを使いこなしましょう。
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